歯の痛みについて

虫歯により歯が痛くなる仕組み

虫歯になる→歯が溶ける→歯の歯髄(神経血管のある管)まで達する→歯髄に炎症が起こる→炎症物質などが発生し痛みが出て、歯髄が腫れ、内圧も高まり更に痛みが増す→悪循環→我慢出来ないほどの強い痛みへ

上記の図は虫歯が歯髄まで達し、歯の先まで炎症が起きている状態です。

歯の痛みは皮膚を怪我して化膿した場合などと比べ、膿の逃げ場がないため、急激に内圧が高まり、神経、血管の量も豊富なため、激烈な痛みを伴います。

歯髄まで虫歯が達してしまって炎症を起こしている場合、よっぽど軽度な場合を除いて、神経と血管を残すのはほとんど不可能な状況に陥ります。

(軽症な場合、神経を頑張って残そうとする高度な治療法もあります。)

こうなってしまった場合、皮膚が化膿したときに膿の袋を破いてあげると楽になるように、膿の逃げ道を作ってあげ、さらに感染してしまった神経、血管を取り除いてあげると一気に症状が楽になります。

これがいわゆる歯の神経の治療になります。

上記の図は歯の神経の治療の流れを図に表したものです。説明しやすくするために番号をつけています。

①虫歯が歯髄まで到達し、治療が必要な状態です、②虫歯(原因)を削って除去し、歯髄にアクセスし、③細い針のような器具を使い、歯の神経と血管が通る管(根管)の中身を掃除して、④薬を詰めてあげることで(貼薬)痛みを取り除いています。このきれいにする作業に何回も来院が必要になります。

根管内がきれいになり、痛みや炎症が治まれば、最終のお薬(お薬というのは便宜上で、限りなく無菌状態にしたあと死腔となった根管内を埋めるための材料)を詰め、失われた歯の一部を材料で埋めたり、金属を立てたりして、⑤最終的には土台を作り、被せなどになります。

文章を読むだけでも痛みの程度や、その治療の難しさ、時間がかかることが想像できるでしょう。

また、一度神経の治療をしてしまった歯は、歯自体の痛みの感覚を失い、栄養と免疫細胞を送る血管も失ってしまうため、ミイラ化したような状態となり、治療されていない歯に比べ持ちがかなり悪くなります。

もし虫歯ができてしまっても、この段階になる前に治療することが本当に大切になってきます。

ちなみに、虫歯が歯髄に達する前にも、これほどの痛みではないですが疼痛が出たり、染みる感じや不快感が感じられます。(この痛みの伝達の仕組みは説明すると専門的になりますので割愛)

少しおかしいなと思ったら歯科医院に行き検査してもらうと良いかもしれません。

小さな虫歯は痛みがなく、目視しにくいところにできると気付けないことも多いので、定期検診にいかれることをおすすめします。

その他の理由で歯が痛くなる仕組み

非歯原性疼痛が挙げられます。

非歯原性歯痛とは?

1.  筋・筋膜痛による歯痛
   【痛みの特徴】 数日~数週間前から,軽度の疼くような鈍い痛みが歯に生じている.どの歯が痛いのかよくわからない.
痛みは日常生活には支障はない.
2.  数秒間発作的に生じる歯痛(発作性神経障害性疼痛による歯痛)
   【痛みの特徴】 顔面や喉の瞬間的な激痛,電気が走り抜けるような,刺されるような.うずくまる様な痛み.片側性.
3.  歯科治療後に長引く痛み,帯状疱疹に伴って生じる歯痛(持続性神経障害性疼痛による歯痛)
   【痛みの特徴】 ある日突然,または歯科治療後から,24時間間断なく続く痛みが歯に発現した.どの歯が痛いか,はっきりわかる.
4.  神経血管性頭痛による歯痛(群発頭痛や片頭痛などに伴って生じる歯痛) 
【痛みの特徴】 歯や顔面に発作性の痛みが生じ,数時間持続して消失する.発作時以外に痛みはない.
5.  上顎洞疾患による歯痛(上顎洞の病気により生じる歯痛)
   【痛みの特徴】 数日前から上顎の奥歯に持続性の痛みが生じている.通常片側性.
6.  心臓疾患による歯痛
   【痛みの特徴】 歩いたり運動したりすると下顎に痛みが生じる.痛みは10分ほどで消失する.両側性のことが多い.
7.  精神疾患または心理社会的要因による歯痛
   【痛みの特徴】 うつ病や不安症,統合失調症などの精神疾患がある人に発現した原因不明の痛み.
または,簡単には解決できない心理社会的要因(ストレス)が加わった場合に生じる原因不明の痛み.
8.  特発性歯痛:X線画像などには明らかな異常が認められない“原因不明の歯痛”
   【痛みの特徴】 歯に慢性の痛みが生じ,起きている間中持続する.歯科治療を繰り返したが全く効果がない.
食事の時には痛みは改善する.
9.  その他の様々な疾患により生じる歯痛
   【痛みの特徴】1-8以外の痛み.
10.  舌痛症と口腔内灼熱症候群
   【痛みの特徴】 口腔粘膜にやけどをしたようなヒリヒリする痛みが一日中持続している.みは食事中には改善する.
ガンではないかと心配になる.

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