顎関節症患者のための 初期治療ガイドライン
「顎関節症だから、
歯を削って調整します」
それって、有効?
いきなり歯を削るかみ合わせの調整を受けるのは、
できるだけ避けましょう。
顎関節症患者において、症状改善を目的とした咬合調整は行わ
ないことを推奨する。
顎関節症以外(歯周病、咬合性外傷、不良義歯など)の治療目的による咬合調整
は、別途検討が必要です。
咬合調整(歯を削って行うかみ合わせの調整)は、一度削ると元に
戻すことが困難です(天然の歯の場合は、元に戻りません)。また、
重篤な症状のきっかけになることがあります。そのため、日本顎関節
学会は、初期治療として咬合調整は行わないことを推奨しています。
あごの筋肉が痛いとき、
スタビライゼーション
スプリントは有効?
スタビライゼーションスプリントを使った治療を受
けてもいいでしょう。
咀嚼筋痛を主訴とする顎関節症患者において、上顎型スタビライゼーショ
ンスプリント治療を行っても良い
顎関節症で
口が開かないとき、
開口訓練は有効?
痛くない範囲で、口を大きく開けたと
きに、だいたい1本の指しかはいらな
い人
開口訓練とは、口を開ける練習のことです。あごが引っかかって開かないとき、関節の動きを良くするために行います。また、筋肉に痛みがある場合は、ストレッチ効果も期待できます。
指の力で圧力をかけると効果的です。親指を上あごの前歯に当て、人差指を下あごの前歯の縁に当てます。そして少しずつ力を加えながら、上下の歯を押し上げるように口を開きます。これを1日数回、1回につき10回程度、無理のない範囲で行います。
注意)強い痛みを感じない程度にしてください。
開口障害を主訴とする関節円板転位に起因すると考えられる
顎関節症患者(Ⅲ型 b タイプ )において、関節円板の位置
など病態の説明を十分に行ったうえで、患者本人が徒手的に行
う開口訓練(鎮痛剤の併用は可)を行うことを提案する。
一日数回、患者が本人の指を用いてストレッチ的な開口を行うもの
です。また、開口訓練によって、日常生活上で顎関節部の疼痛が増
大する場合は中止したほうがよいですが、開口訓練時に若干の疼痛
は生じることがあります。
・鎮痛剤を服用しながら開口訓練してもかまいません。
注:Ⅲ型bタイプは、主症状に著しい筋痛がない開口障害であり、患者さんが顎
関節部に引っ掛かり感を有するなど、いわゆる関節円板転位が想定される場合です
鎮痛剤
カロナール(アセトアミノフェン)
トラムセット(アセトアミノフェン、トラマドール合剤)
ロキソニン(ロキソプロフェン)非ステロイド性抗炎症薬
ボルタレン(ジクロフェナックナトリウム)非ステロイド性抗炎症薬
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