神経障害性瘤痛とは、体性感覚の痛覚伝導路のある部分が障害され
て引き起こされる痛みである。
智歯抜歯やインプラント手術などによって末梢の三叉神経を損傷す
ると、まず感覚鈍麻や感覚脱失に代表されるnegative(抑制性)症状が生じる。
神経損傷に対する初期治療が遅れたり、損傷の程度が強い場合には、さらに自発性の痛みやアロディニアなどのpositive(興 奮性)症状が出現することがある。したがって、針で刺して も痛みを感じない部分に、自発性の持続性疼痛が生じる(有痛性感覚 脱失)という一見矛盾した状態が起こる。
●神経障害性瘻痛の治療法
外傷性末梢神経損傷が生じた場合の治療は、急性期と慢性期に大別
される。
神経損傷直後は、修復過程である神経線維の再生と
後遺症の原因となる神経線維の変性が同時に進行して
いる。したがって、急性期には変性を最小限に食い止め、円
滑な再生を導くような治療法が選択される。一方、神経の変性が完了
してしまった慢性期には、さらなる治癒促進は期待できないため、残
存した神経症状に対して対症的な保存療法を選択することになる。
*アロディニア(allodynia:痛覚過敏):通常では痛みを引き起こさない刺激(軽い
接触など)によって生じる痛み
**有痛性感覚脱失(anesthesiadolorosa):感覚脱失がある部分に自発痛を呈する病態
急性期:術直後、感覚鈍麻が確認されたとき
〔末梢神経損傷の傷病名必要〕
・第1選択薬
プレドニゾロン(プレドニン錠5mg)30mg/日で開始し、2週間で
漸減するパルス療法。年齢、症状により適宜増減
・第2選択薬
ビタミンB12製剤メチコバール錠1回1錠1日3回。
寛解もしくは発症後8週間まで使用
慢性期
第1選択薬〔神経障害性痙痛の傷病名必要〕
神経障害性瘤痛治療薬:プレガバリン(リリカ)
1~3日目:1錠25g1日1回就寝前
4~6日目:1錠25g1日2回朝食後、就寝前
以後、至適効果が得られるまで3~7日ごとに25mgずつ、300’
mg/日まで漸増する。最大1日600昭まで使用可
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