まず咬合紙で咬合接触点を印記しましょう.咬頭に咬合接触点がある場合は
インレー窩洞です.健全な咬頭に咬合接触点がない場合,マージン部に接触点がある場合はアンレーの適応かもしれません.
⑪臨床のポイント
適切な窩洞形態は齪蝕の位置と大きさ遊離エナメル質の除去範囲などにより決定しま
す.なお,咬頭隆線は齪蝕に罹患しづらいので可及的に保存します.
窩洞形態を考える時は,咬合紙で咬合接触点を印記する.基本的に咬
合接触点がマージンにあることは好ましくありません.よって接触点は削って窩洞の中に入
れる必要があります.また,咬頭に咬合接触点がある場合はインレー窩洞.健全な咬頭に咬
合接触点がない場合はアンレー窩洞になる可能性が高くなります.
②概略的なことについての説明
1)窩洞外形線
齪蝕や欠損の位置と範囲によって決定します.小窩裂溝などう蝕になりやすい不潔域を窩洞内に取り込む予防拡大も行います.遊離エナメル質の除去,咬頭隆線の保存,などを考慮しましよう。
2)保持形態
保持形態の原則は,
(1)安定効力(転覆、すべり防止),
(2)拘止効力(抜け落ち防止),
(3)把持効力(相対する2側壁による把持)
3)抵抗形態
基本的には箱型
4)便宜形態
便宜形態は,基本的に外開きで,アンダーカットがなく,摩擦,合着時の抵抗の軽減などが
求められます.鋭利な部分などは健全歯質であっても必要最小限削除します.
5)窩縁
修復物と街洞の接合部で窩洞の入り口であるため極めて重要.スムーズなラインに
なるよう心がけましょう.
⑧実際のステップ
まず,咬合接触点を印記し視診,デンタルエックス線写真などで患歯を精査します.またクラックなどがないかよく観察し,
最低でも患歯のプロービングを行いましよう.とくにインレーの二次う蝕では,クラックを
認めることがある.クラックが歯肉縁下まで及んでいる場合は一部プロービ
ング値が深くなり,咬合痛があることがほとんどです.
次にう蝕の除去です.う蝕は齪蝕検知液などで染め出します.小さめのラウ
ンド型ダイヤモンドポイント・ステンレスラウンドバーやスプーンエキスカベータで除去していきます.咬合面歯質は可及的に保存することが望ましいでしょう.
その後,セメントやフロアブルレジンなどを用いて裏層します.しっかりと窩洞をイ
メージしながらインレー窩洞形成を行います.ポイント,バーはフェザータッチで,隣接面
を形成する時は隣在歯を傷つけないように充分注意しましょう.最後に片目でアンダーカッ
トがないかどうかチェックします.
インレー除去時,セメンテーシヨン時すべてにおいてラバーダム防湿下で行うと‘患歯に
集中することができ確実な治療を行うことができます.
インレーのような内側性修復物の窩洞形成は,アンダーカットができやすくなりますので
外側性のアンレーやクラウンと比較し少し難易度が上がります.片目でチェックするとよいかもしれません
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